10年ほど前,
大阪に住んでいた友人が言うには,
「東京には緑が多い」
とのことだった.
え?
近畿の方が緑は多いでしょ?
と問うと,こういう答が帰ってきた.
大阪の市内にある緑といえば,
中之島公園と大阪城公園,鶴見緑地くらいしかない.
東京には,
代々木公園,神宮外苑,日比谷公園,皇居,と,大きな公園や緑地があり,
明治の森などは,どう見ても本格的な森であり,
総じて,まとまった緑が,都心にあると言える,と.
でも,京都や神戸など緑が……と言うと,
こういう答が帰ってきた.
確かに京都は,山で囲まれているので,緑は見える.
でも,まとまった緑地が市内にある訳ではない.
神戸にしても,確かに背後は六甲山で,
横浜などと違って本格的な山地が迫っているが,
それは「都心の中の緑」ではない.
考えてみると,近畿に限らず,
日本の大きな都市の中で,
都心にまとまった緑を有する所は,
意外にも少ないかもしれない.
_逆に東京ほど山から遠い都市も,
他には見あたらないようにも思う.
昔,といっても,私が子供だった,ついほんの20年前
(コンピュータ業界の「ドッグイヤー」のたとえを適用すれば,
それは「旧来の歴史140年分」ということになるが),
ちょっとした茂みや林などを「山」と言っていた.
つまり東京は,
山が遠いようでいて,
実は,
その内部に「山」を
抱え込んでいるのかもしれない.
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