先週、引越をした。
15年住んだ事務所兼アパートを引き払って、2Kの小さな部屋を借りた。
3部屋に入っていた荷物が入りきるはずもなく、引越前に、古くなって使わない書類を捨てた。模型やフィギュアも随分オークションに出した。パソコンも減らした。それでも新居は満杯になった。やっぱり一般家庭に大判出力機を置くというのは無理があるのか。
前の家は、2003年の11月から住んでいた。まだ朔が3歳の遊び盛りで、毎日外に遊びに行っては、トンボや蝉やトカゲを捕まえてきた、とひなは言うのだが、私は仕事に忙しくて事務所に居ることが多かった。まだ夜遅くまで仕事をしていた頃だった。随分無理もした。今思うと、そんなことよりもっとひな朔と一緒に居る時間を作るべきだったと思うけれど、朔はもうこの世に居ない。今の家は、仕事場を通らないと居間とキッチンの間を行き来出来ない構造になっている。そのため仕事場が自動的に居間のようになって、ひなと一緒に過ごす時間が増えた。朔が「もっとひなを大切にしなさいよ」と言ってくれているのかもしれない。
今日4/27は、経師屋さんの納品だった。
朔がひっかき、私たちが写真を貼り付けまくったふすまも障子も、まっさらに新しくなった。もうこの部屋で珈琲を飲むこともない。私たちの生活の匂いは少しずつ確実に薄れていく。この部屋で「朔ちゃんでんぐりっこ」をしたことは、遠い昔のことのようにも思える。
朔ちゃん、新しい家に行こう。新しい家でも一緒だよ。朔ちゃんのことはずっと忘れないよ。