小湊鉄道キハ200の記憶


カテゴリー: テキスト日記鉄道 | 投稿日: | 投稿者:

今月発売予定の鉄道コレクション「小湊鉄道キハ200、2両セット」。
楽天で予約した。

小湊鉄道は今、キハ200以外の車両を営業用に持っていない。五井の車庫にキハ5800を保存しているが、稼働していない。
それはしかし、昨日今日に始まった話ではない。

私が初めて乗った1983年の6月には、既にそういうラインナップになっていた。
あれから29年が経過した訳だが、未だにキハ200が現役。国鉄(→JR)の同年代の車両というとキハ20だが、JRには残っていない。キハ20より新しいキハ40やキハ47の廃車が始まっている。小湊鉄道、物持ち良すぎ。

29年前、なぜキハ200に乗ったかというと、別に趣味として乗りに行った訳ではなかった。通院のためだった。初めて通う精神科、市原鶴岡病院が、小湊鉄道の上総三又という駅から歩いて15分のところにあった。今でもあると思う。当時の診断名は強迫神経症。今は鬱病で、診断名こそ違うけれど、当時の処方は抗鬱剤を中心とした処方で、今の主治医が分析するには、当時既に強迫性障害の症状より鬱状態の方が深刻だったのだろう、という。
上総三又は、田んぼの中の無人駅だった。ホームが1本と、簡単な待合室があるだけだった。うら寂しい場所と言えなくもなかったが、私はそこに救いを求めて通って行った。だからこれは悪い思い出ではない。1983年の6月。緑色の絨毯を敷き詰めたように水田が広がっていた。

あれから29年が経過したが、小湊鉄道はほとんど変わっていないように見える。
いや、少し変わったことがあるかもしれない。人気が出ていること。
都心から比較的近くで、クラシックなキハ20系が走っているということで、ドラマやCMなどのロケに使われるようになった。
また、鉄道趣味そのものが29年前よりメジャーになった。
小湊鉄道は昔よりむしろ人気が出ているように思える。オークションで取引されている模型の価格を見ても、そう思う。

私はといえば、あれから29年経って、結局薬に頼って生きているという点では何も変わっていない。
でも、それでいいやと思う。非合法な薬ではないし、あるいは、体を壊すほどのお酒やタバコでもない。それを飲めば日々なんとか暮らして行けるのだから、まあいいやと思っている。

そして今日も小湊鉄道キハ200は、クラシックなエンジン音を奏でながら、田んぼの中を走っている。