もうすぐ私の誕生日なのでどこかに行きたいということで、で、そういえば私は豊橋鉄道市内線に乗っていないじゃないかということに気がついた。豊橋に行ったことはある。豊橋から豊橋鉄道「渥美線」に乗って渥美半島の途中まで行き、そこからバスに乗って伊良湖岬まで行った。だが市内線は見落としていたというか、なぜか乗らなかった。いや、なんか電車に乗る基準が変なような気もするんですけど。
で、市内線。私は東京都電はもとより、今は廃止されてしまった京都市電とか、広島とか松山とか函館とか、それなりに路面電車に乗ってきたつもりではあったけど(とはいえ富山に何回か行ったのに富山地鉄に一度も乗っていないのはダメダメだけれど)、豊橋鉄道という、割と近場にある路面電車を見落としていたことに、今さらながら気がついた。
そして、ひな。ひなは何と「路面電車というものに乗ったことがない」という。で、道路に線路が埋め込んであってそこに小ぶりの電車が走るんだと説明すると「なんだか怖い」という。路面電車を「怖い」と言った人に初めて出会ったので驚いたが、まあ、乗ったことがないということは、そういうものなのかもしれない。
で、わざわざそれだけのためにですか?仕事はどうしたんですか?って話もあるわけですけれど、2月23日に、熱海から豊橋まで新幹線に乗って、豊橋鉄道市内線に乗りに行ってきた訳です。
で、豊橋鉄道市内線というのがまた、これが、ちょっとただ者ではないところがある。
何と、日本の鉄道で一番急なカーブ、というのがあるのだ。
それだけではない。これは鉄道関係者にも意外に知られていないのではないかと思うのだが、Google Street Viewによれば、「日本でもしかしたら唯一かもしれない、窓から路面電車の見えるサイゼリヤ」があるのである。
こんな話題盛りだくさんの豊橋鉄道市内線を見落としていたとは、うかつであった。
で、行ってみた。とりあえず豊橋駅から乗ってみる。お客さんは10人くらい乗っていただろうか。
まずは終点「赤岩口」まで行ってみた。
そこで降りたのは私たちだけだった。まあ土曜の午前中なので、こんなものだろう。
赤岩口というのは、ようするに車庫があるということのようだったが、その車庫には門がない。どこまでが入っていいスペースなのか判然としない。
まあ、侵入は常識的なところでやめておいた。
カラフルな人に出会った。
そんなことより謎は、赤岩口駅そばのこの「ファッションライフおおの」である。
安いのである。
思わず買ってしまう。
99円の手袋。結構暖かいという。これ、どうやったら99円で作れるのだろう?
ファッションライフおおのからも電車は見える。
さて、赤岩口駅に戻り、一駅戻る。
一駅戻った井原停留所で、人なつこい犬に出会う。
井原駅付近に、半径10mの急曲線がある。これは日本の鉄道でもっとも急な曲線である。
・・・と、こんな具合に曲がっていく。
実は井原駅は分岐点になっていて、ここから、赤岩口停留所と、運動公園前停留所との、2つの終点に向かう路線が分岐しているのだ。
最初は赤岩口までの路線しかなかったのだが、後に、運動公園前まで路線を延長して、その時に、半径10mの急カーブが出来た。
私たちは曲線と反対側に向かい、運動公園前を目指す。
いや、何か用事があったわけではないんですけどね、何となく終点まで行ってみたいじゃないですか。
そうしたら、運動公園前停留所の近くに「カフェなごみ」というのがあった。そこは障がい者の就労施設で、(多分)知的障がいのある方々と、そのサポートをする人たちで運営している喫茶店だ。
コーヒーを頼む時、ふと思い出したことがあった。
「モーニング、やってますか?」
答えはYESだった。
ひなは「あたしモーニングじゃなくていい」と言った。
違うんだ、ひな。
ここは名古屋の文化圏だから、「喫茶店のモーニング」に追加料金は要らないんだ。
モーニングサービスの時間内なら、コーヒー1杯を頼んだだけで、盛りだくさんのオマケがついてくるんだ。
「なごみ」も実際、350円のコーヒーに、ゆで卵と調理パンとサラダが付いてきた。
なごみでその他こまごまとした買い物をして、それから、一旦「競輪場前」という停留所に向かう。
ここに豊橋鉄道市内線の営業所があって、そこで電車形の目覚まし時計を売っていると聞いたからだ。
けれど行ってみると目覚まし時計は売り切れていた。競艇場前には小さな車庫があり、東京と岐阜から来た車両が仲良く休んでいた。
私たちはさらに競艇場から再び、井原停留所に向かった。といっても、今度の目的は急カーブではない。
何と、Googleのストリートビューによれば、この井原停留所のすぐ近くに「サイゼリヤ」があるというのだ。
日本全国に展開するサイゼリヤの中でも、「窓から路面電車が見えるサイゼリヤ」というのは、他にあるだろうか?
とか何とか言って、早めの昼食をたらふく食べたうえに、アイスティラミスを頼んでしまう。
まあ何ですね、正直なところ、日本一の急カーブを体験することと、電車を眺めながらサイゼリヤで食事をするというのがかなり大きな目的だったので、その目的を達成したらさくっと帰ろうということにしたのだけれど、そうしたら、たまたま帰りの電車にやってきたのが、最新型(といっても2008年製だが)の、いわゆるLRTタイプ(豊橋鉄道ではLRVと呼んでいるようだ)が来た。私自身、ここ数年、いやもっと、路面電車に乗っていなかったので、このタイプの車両に乗るのは初めてで、結構嬉しかった。
まあそんなこんなで、路面電車に乗りに行ったのか、それとも買い物をしに行ったのか、カフェとサイゼリヤに食事に行ったのかよく分からないけれど、豊橋の日帰り旅行から無事帰ってきた。