ひなが気づいたのだけれど、11/2発売のPerfumeの新曲「スパイス」がYouTubeで、フルコーラスで公開されている。それが、違法アップロードではなく、徳間ジャパンの公式チャンネルである。
相変わらず、撮影前から撮影後の後処理まで、凝っている。
で、思った。
これ、どういうビジネス?
既に初回限定版のシングルはAmazonでは売り切れている。
シングル1枚1300円として、単純に計算すると、1万枚売れれば1300万円の売り上げ、しかしPerfumeが1万枚ということはなかろう、なら5万枚で6500万円。ざっと7割が諸経費にかかるとしても、1950万円の利益が産まれる、というか、既にもう確定しているのかもしれない。10万枚売れれば3900万円。
そういう私も既にAmazonで初回限定版を予約済み、代金も支払済だ。
「だからいい、という意味ではない」と思う。
徳間ジャパンという、決して小さいとは言えない会社を維持するには、4000万円弱の利幅で満足いく訳もなかろう。
では「その先に行く」にはどうすればよいのか?
その答えが、YouTubeなのではないか。
つまりこれは、国内10万枚ごときの売り上げのために公開しているのではなく、全世界の「Japan fan」に向けて、Perfumeの存在を知らしめ、より大きなビジネスに繋げたいということではないかと思う。
実際、数年前にこんな話があったという。
ある日突然、角川出版に、ドバイの出版社から問い合わせが入った。
曰く「御社のアニメーション某の、当国内での版権を購入したい」。
その出版社は、某の内容を全て理解した上で「当国内にもファンが居るので販売したい」と。
角川側の担当者が驚いて、輸出どころか販路開拓さえ行っていないドバイという国で、いったいどうやって日本のアニメを知ったのかと訊ねると「YouTubeの違法アップロード動画で知った、だが当地のファンは画質の良い本物のコンテンツを欲しがっている」と、彼の地の出版社は答えたという。
それは後に、角川がアニメのMadを認めるようになった理由の一つにもなったという・・・
徳間ジャパンの狙いも、おそらくこれに近いところにあるのではないかと思う。
実際、ファンというのは、YouTubeの違法動画がタダで見られると知っていても、DVDやCDを、買い集めるものである。
欲しいものにはお金を払う。
モノにはモノとしての存在感があるのかもしれないし、金銭的にターゲットを支持したいという気持ちも働くかもしれない。
いちいちPCを起動してYouTubeに接続するのが面倒くさい、という人もいるだろう。
第一、積極的に消費という行動を起こすだけの「お金のある人」にとっては、CDの1枚ごとき、あるいは音楽配信の有料ダウンロード1曲ごときのわずかな金銭を節約するために、法を犯したり手間をかけたり、あるいはいちいち「やり方を調べる」などするより、商品として販売されているディスクやデータを購入する方が、手っ取り早くて楽で、その人にとっての「時間」を「金銭」に換算すれば、安いということになる。
早い話、Perfumeのターゲットは、もはや、日本の(あまりお金を持っていない)若い人たちではなく、全世界の、お金の使い道に困りながら人生に飽き飽きしている人たちなんじゃないかと思う。
それはいい戦略だ。全然いい戦略だ。