坂本龍一がなぜ「ノルウェイの森」に出演しなかったかというと、既に村上春樹作品の「トニー滝谷」で音楽を担当していたので「お腹いっぱい」だったから、というのは私が勝手にでっち上げた話でしかないけれど、ともあれ、今日、レンタルDVDで「トニー滝谷」を見た。
それで、その感想はどうだったかというと、「大切な人は、本当に本当に、大切にしたい」という気持ちになった。
いや、村上春樹はそのような説教を垂れたりはしない。でも、もしこの感想を伝えるようなことがあっても「君がそう思うなら、それがいいんじゃない?」と言ってくれそうな気がする。
あと、イッセー尾形の演技に味わいがあった。宮沢りえは美人だなと思った。
それと、やっぱり音楽がいい。坂本龍一、恐るべし。
実は、一緒に借りたDVDがもう1枚あって、それは、アニメ版の「銀河鉄道の夜」だった。「999」ではない。細野晴臣が音楽を担当している。
正直に言う。意味不明。ただ、原作自体がもともと未完成のまま作者が世を去ってしまったという事情もあって、作品に描かれている内容の解釈も様々であるなど、何しろもとがそういう作品だから、私ごときに理解出来ないのは仕方ないことかもしれない。むしろ「意味がよく分かった、これはかくかくしかじかで、」などと私が説明を始めたら、それは、私は嘘つきだ。
ただ、私なりの解釈として、「ジョバンニは夢を見ていた。夢の中でカンパネルラと旅に出るが、旅の途中で、カンパネルラから永遠の別れを告げられる。実際、夢から覚めるとカンパネルラは死んでいた」というのが大筋で(おおざっぱすぎるわい!)、その旅の途中で、タイタニック号の沈没事故から影響を受けたストーリーと共に、本当の幸せとは何だろう?ということを作者なりに悩んでいる、といったことが、語られる・・・大筋では、こんな印象を持った。これが正解である自信はない。ただ、ポスト311に宮沢賢治が銀河鉄道の夜を書いたなら、福島第一原発の事故のことは書かない訳にはいかなかっただろうな、どういう話を書いたのかな、などと思った。
それはともかくとして、この映画も音楽が凄い。
細野晴臣、ただ者ではない。
アジアのような中東のようなヨーロッパのような無国籍な雰囲気でありながら、ごちゃごちゃしていない。鉄道の轍のような規則的なリズムに乗せて、やや暗い色調で曲は始まる。だが途中で転調し、何か「救い」のようなものが現れる。そしてまた、どっしりとした曲調で曲は閉じて行く・・・
細野晴臣は、文字や言葉でなく、音楽で、「銀河鉄道の夜」の解釈を提示したのかもしれない。
細野さん、好きだよ!